Web2.0下のクリエーティブ・コモンズに注目!!
クリエーティブ・コモンズの議長であるローレンス・レシング(スタンフォード大学の法律学者)が書くクリエーティブ・コモンズ・ブログに欧州連合のナレッジマネジメント・コミュニティが強い興味を示していると言う通知を受けて、とても危機感を持った。(http://www.knowledgeboard.com/cgi-bin/item.cgi?id=147038)(http://creativecommons.org/)
−
因みに日本からこの運動に名を連ねているのは、やはり伊藤穣一氏である。
−
元来、コモンズとは中世欧州の入会地を意味する。
そこでは村人共通の果実が取れ、豊かな牧草地で村人たちが家畜を飼い、共同で放牧が行われた。
21世紀のクリエーティブ・コモンズの果実はデジタルな果実である。
クリエーティブ・コモンズと言うのは映画、書籍、写真、論文、ソフトウエア、動画などの穏やかなネット環境下における公正な使用のためのライセンス契約やそれを支える新たな著作権法(現行の著作権法の改訂を含む)を制定しようと言う運動と考えられる。
運動自体は2001年ごろから米国で始まったものであり、オープンソース・ソフトウエア(リナックスに代表されるネット上でコミュニティが共同開発するフリー・ソフトウエア、通常はライセンス料が無料)の影響を受けて出現したものである。
クリエーティブ・コモンズにはDRM(デジタル・ライツ・マネジメント)と呼ばれる情報商品やサービスなどに関する権利の議論があり、今後のDRMの行方にも大きな影響を与えるものと考えられる。
−
またクリエーティブ・コモンズ運動は、IT技術環境に焦点を当てたティム・オレイリーらのWeb2.0運動から原則的な支持を受けている点を見逃してはならない。
−
それではクリエーティブ・コモンズが考える『合理的な著作権』の概念を簡単に説明しよう。
● 従来の著作権 ALL RIGHTS RESERVED (全ての権利が守られている)
● フリー・ソフトウエア ANACHY(何の権利も守られていない)
● 『合理的な著作権』 SOME RIGHTS ARE RESERVED
クリエーティブ・コモンズの考えでは、著作権を50年も認めるような考えは可笑しいとしているが、完全に著作権を否定している訳でもない、
明らかに両者の中間的な著作権の考え方を作り上げようとしていると言う意図なのである。
従来からの著作物の保護期間を短くする方向を提唱する一方、クリエーティブ・コモンズが提唱する『合理的な著作権』は以前、コピーレフトと呼ばれていたものにも近い。
−
研究者の世界では、書き上げた論文は人類の共有財産であり誰でも使え、誰でもが引用できる。但し、他人の書いた論文を自分の論文内に引用をする場合、『出所』等と言う形で原作者を明記する慣習があった。(コピーレフトは飽くまで慣習である。)
クリエーティブ・コモンズはネット上の共有財産であるブログや顔写真などの引用も論文の引用と同じように考えている。
−
−
例えば恋人である女性の顔写真を自分のホームページ上に貼り付ける場合を考えてみて欲しい。
その場合『合理的な著作権』の下、彼女から許可を得るべきだとクリエーティブ・コモンズは主張する。そのための許可マークまでデザインしている。
さて折りしも、我が国でも政府がソフトウエアの調達にオープン・ソース・ソフトウエアを積極的に加える方針を決定している。筆者はこの動きの裏にはクリエーティブ・コモンズが多少影響していると考えている。
またソーシャルネットワーキング用のソフトウエアでは(有)手嶋屋がOPEN PNEと呼ばれるオープン・ソース・ソフトウエアを提供している。
−
日本版企業改革法(SOX)の時もそうだったが、それにしても日本は組織的な動きが遅い!!
−
ブログや顔写真、今後出てくる動画ブログや音声ブログなどの権利義務関係にはクリエーティブ・コモンズの考え方やライセンス契約が我が国でも適用される方向で考えられることになるだろう。
欧州連合のナレッジマネジメント研究コミュニティでクリエーティブ・コモンズが注目されている中で、我が国の動きが遅いことにちょっと危機感を持った次第である。
皆さん、クリエーティブ・コモンズを謙虚に学習しましょう!!
![]() ![]() | 山崎秀夫 / 日本ナレッジマネジメント学会専務理事 http://echoo.yubitoma.or.jp/weblog/h-yamazaki/ |
■あなたもFPNニュースコミュニティに記事を投稿してみませんか?
→記事の投稿方法についての詳細はこちら








