FPN-組織図を描くのは、アートな感性と、サイエンスな設計の融合だ!

組織図を描くのは、アートな感性と、サイエンスな設計の融合だ!


■企業・マネジメント 2009-7-3 7:30:00 by tabbata

弊社でも、10月始まりの新年度に向けて、新年度の予算策定と組織設計をイメージするべき時期にも、なってまいりました。

毎回思うのですが、組織設計と人事異動というのは、アートとサイエンスの融合した、何ともいえないシビれる経営判断だと思います。



しかしながら、当然に「サイエンス」の側面もあるわけですから、きちんと、フレームワークを知っておくことも大事なわけです。

SANY0037


そこで、この3冊の本を読み返し、参考にして考えています。

組織設計に関して、何となく・・・で、決めていると、哲学・ストーリーのない組織改変が頻発することになります。そんな朝令暮改をやっていると、現場の社員からみたときに、マネジメントが無能なことがバレバレになってしまいますから、細心の注意を払いつつ、大胆に考えねばなりません。

まず、組織骨格のパターンとして、現状、多いものに3つがあります
 ・機能部制
 ・事業部制
 (事業部のことをディビジョンと呼称する会社もある・・)
 ・マトリックス組織
です。

いま、いろんな会社で多いのは、事業部制だと思いますが、そもそも、事業制とは、どういう組織論のフレームや必然性に基づいて、編み出されたものか、部下から聞かれたときに、アナタは説明できますでしょうか?
この三つの考え方は以下のようになります。(下記の『組織設計概論』より、私なりに要約)

機能部制とは、典型的には、販売部・開発部・生産部というように、ビジネスの各プロセスごとに、部門を分けた形態を言います。
長所は、開発・生産・営業などでのノウハウの蓄積やスケールメリットが出しやすいことです。短所は、部門ごとのカベから、マーケットを向いて仕事をする雰囲気が出にくいこと、利益責任に対する実効的なコントロールを各部門長でも持ち得ないこと、などです。

事業部制(事業部のことをディビジョンと言ったりする会社もあります。事業本部制やカンパニー制も、基本的には事業部制です。)の長所は、各プロダクトやサービスに対応して、事業部があるわけなので、マーケット志向が最大化され、社内においても競争原理は発揮され、活性化を期待できます。課題は、営業や生産、開発を各事業が別個にやると、非効率になりやすいことと、全社として持っている「経営資源(人材やブランドなど・・)」へのアクセスを柔軟にコーディネートすることが難しくなること、です。

マトリックス組織は、ワールドワイドの超大企業に多いのですが、事業部制度のラインと、国・地域ごとのラインを両方持つことによって、ワールドワイドでのビジネスプロセスごとのシナジーを出しながらも、各地域に特化した事業運営も可能にする形態です。


V字回復の経営」の中でも、触れられてましたが、「生産事業部」
とか「販売事業部」とかいう名前で、事業部の中に、開発・生産から販売・営業までを自己完結して持っていない組織は、本来的な意味では「事業部」ではありません。ニセモノの事業部制だと断言できます。

というのは、結局のところ、営業機能(ネット企業ならマネタイズ機能)が、自分の管轄部門内になければ、売上が上がらない責任を事業部長が負うことは出来ないからです。売上責任=事業責任とするならば、事業責任を持てない以上「事業部長」や「ディビジョン長」という呼称は、お飾りに過ぎなくなります。

こういう考え方に基づいて、ライブドアのメディア事業部では、メディア事業部内を、それぞれ10人強〜30人弱のビジネスユニットに分け、ビジネスユニット(略称:BU)をミニ事業部的に位置づけて事業運営する試みを去年10月から実施しています。

media_sosiki


縦のビジネスラインと、営業・開発といった横のラインをクロスさせながらの、事業部制とマトリックス組織の中間みたいな組織構成です。

広告FUとか、開発FUとかいうのは、FunctionUnitの略です。広告FUの中には、広告代理店さんや、ナショナルクライアントを向いて、オールライブドアでベストの提案をすることを優先したミッションとして持つ営業マンと、BUにも属しながら、FUにも属し、より、個別のサービス(例えば、livedoorBlogとか、トップジャック)に精通し、個別のプロダクトにコミットすべきと、している営業マンの2パターンがあります。(開発プログラマー陣も同様です。)

やや複雑なため、導入当初は戸惑いもありました。しかし、何よりも、各ビジネスユニットのメンバーが、組織サイズで10人強〜30人程度と「ネットベンチャー」として一番ノビノビとやれるサイズになったことで、自律的な活発度が高まりました。

(私からは、各BU長には、ネットベンチャーの社長になったつもりで、お願いします、と伝えました。もう一つ、各BU所属の営業マンには、お客さんの前に出たときで、もし、他BUの商品に引き合いがあったとき「その件は、他のBUなので・・」というような他人事の態度を取ることだけは、厳にないように!ともお願いしました。)

今のところは、概ね、うまく行っていると思います。(もちろん、課題は沢山ありますが・・・) 読んだ人は分かると思いますが、かなり「V字回復の経営」のまんま、です(笑)。

いろんな会社で4月から新組織が導入されたりしていると思います。多くの組織設計や、人事異動が、なんとなくこうじゃない?みたいなノリで案外、進められていることが多いです。

もちろん、KKD(感と経験と度胸)でやるアートの部分も否定しません。そういう、「人間」というものへの本質的な洞察も含めた、人事センス・組織センスはのほうが、最終的には大事だと思います。

しかしながら、組織設計や人事異動における「サイエンス」も知っておいて損はありません。というかサイエンスの土台のうえに、アートが融合してこそ、付加価値の高い組織設計や人事異動が出来るのだと思います。

つまり、いい組織図を描く、というのは、「建築」に近いのだと思います。エンジニアリング的、サイエンス的な構造設計のうえに、その中で過ごす人間の気持ちを最大限に想像しながら、「思い」「魂」を込めるアートの部分が乗っかってくるわけですから。

ここらへんは「完璧な正解」などないテーマでもありますし、私自身もまだまだ初心者マークで、おっかなびっくり取り組んでいるところも正直あるわけですが、参考図書として、「これは良い!」というオススメの本を3冊ほど紹介します。

戦略構築から、組織設計を考えるうえで、この↓本は凄くいいです。「そもそも、なぜ組織を作って、仕事をするのか?」から始まり、いろんな企業での組織制度の変遷について、その長所・短所とともに解説、終盤では、役員といった幹部層をどのように選別、育成していくか?まで触れてくれます。

組織設計概論―戦略的組織制度の理論と実際
著者:波頭 亮
販売元:産能大学出版部
発売日:1999-08
おすすめ度:4.0
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また、結局、どんないい組織図が描かれようなモチベーションが下がっては、文字通り、絵に描いた餅です。ココにも書きましたが、現代の知識労働では、マネージャーは部下に「命令」など、できません。ひとつひとつの仕事の細部の品質は、実際に現場で働くスタッフが、マネージャーの意図を汲んで、どこまで自発的に反応してくれるか、ということに懸かっています。

そこで、何よりも、新しい組織図を考えるうえで考えるべきなのは、実際に仕事をする人間のモチベーションが上がる組織設計になっているか?ということです。その点では、組織設計以外のカルチャー醸成みたいな部分も含めて↓の本がオススメです。
モチベーション・リーダーシップ 組織を率いるための30の原則 (PHPビジネス新書)モチベーション・リーダーシップ 組織を率いるための30の原則 (PHPビジネス新書)
著者:小笹 芳央
販売元:PHP研究所
発売日:2006-05-19
おすすめ度:4.0
クチコミを見る


さらに、組織の細部は当然、一人ひとりの人間になります。適材適所という四文字で表すのは簡単なのですが、人間というものが奥深い以上、人事異動というのも奥深いものです。実は体系的に人事異動の考え方について実用的に解説した書物はあんまりないように見えたのですが、オススメは↓になります。
人事異動 (新潮新書)人事異動 (新潮新書)
著者:徳岡 晃一郎
販売元:新潮社
発売日:2004-09
おすすめ度:3.5
クチコミを見る


tabbata
田端 信太郎 / 株式会社ライブドア メディア事業部長
http://blog.livedoor.jp/tabbata/



(2100p)
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