ネット広告におけるイールド・マネジメントの意義
ホテル会社、航空会社などにとって、限られた部屋数、座席数から売上を最大化することは、経営上の最重要課題だ。ホテルの部屋や、飛行機の座席などは、在庫を売り惜しみ、後々に備えて、倉庫に積み上げておくということが、出来ない業態だから、判断ミスは取り返しがつかない。
今日の在庫を、今日のうちに換金出来ずに売れ残ってしまうならば、その部分に関しては、収入はゼロである。ゆえに、ホテル会社や、航空会社などは、部屋や座席の埋まり具合を予測しながら、需給に応じて、値段を改定していく。
売り惜しんで、埋められないことも売上ロスであるが、値下げして早目に埋めすぎてしまい、後に、もっと高く売れたであろうチャンスを逃してしまうのも悩み者だ。
そこで、航空会社やホテル会社では、イールドマネジメント(Yield Management)と称し、売上最大化をミッションに、在庫の需給予測と、価格改定を担当する専門スタッフがいるそうである。
航空会社やホテルが、限られた座席数や部屋数から最大の売上を獲得しようと、イールドマネジメントに知恵を絞るのと、全く同じ悩みを、ネット上の広告メディアビジネスも抱えている。
特に最近では、代理店さんを経由した営業チャネル、直接に広告主に媒体社の営業マンがアクセスするチャネルだけでなく、複数のアドネットワーク事業者が出てきており、広告枠の販売ルートが複線化し、多様化している。
どのタイミングで、どのチャネルに、どの程度の広告在庫を預け、オカネに換えていくか、というジャッジのパターンが広がっただけ、悩みもまた大きくなる。
ライブドアでも、社内の営業部隊だけでなく、複数のアドネットワーク事業者さんと
提携させてもらっている、アドネットワーク経由での売上比率は、かなり高いこともあり、その使い分けには、日々、気を揉んでいる。(ちなみに、私は1時間おきぐらいの頻度で、売上を知らせる管理画面を常に見ている)
複数のアドネットワーク事業者と、媒体社の間に入って、在庫調整や広告単価の最大化を行うサービスとして、PubMaticや、Rubiconがある。
また、媒体社内での意思決定支援&業務フローシステムとして、マイクロソフトの子会社のRaptなどが、ある。
ここらへんのサービスは、11月のadtech:NYで、デモを見たり、企業訪問したりしたのだが、正直、コンセプト先行で、実戦投入できる段階には、まだ遠いな、と感じた。
しかし、ネット広告の業界でも、イールドマネジメント(Yield Management)という概念が結構、キていることは、良く分かった。アドネットワーク経由でマネタイズするか、広告部隊で販売するか、は組織面でもバッティングを起こしやすい問題(イールドマネジメントを、広告営業部門に任せていると、アドネットワーク経由でマネタイズしたほうがいい場合でも、広告営業部門の存在意義が無くなることを恐れて、そうしないリスクがある)であり、CBSインタラクティブでは、イールドマネジメント専任チームは、CFOに直接にレポートさせているという。
ライブドアでは、担当者が管理画面からログをエクセルに集計し、私や各ユニットの責任者と、あぁでもない、こうでもない、と議論しているような感じでやっている。
どなたか、イールドマネジメントの仕組みをネット広告で、システム的に構築し、うまくいっている事例をご存知ないだろうか? 1impたりともムダにせず、1円でも多く稼げる仕組みを出来るだけ、自動化していく。そんな事例を、もし、ご存知の方が、いらっしゃったら是非、伺いたい。
![]() ![]() | 田端 信太郎 / 株式会社ライブドア メディア事業部長 http://blog.livedoor.jp/tabbata/ |
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