ネットメディアの弱点ってなんだろう
いつでもアクセスできて、接続環境さえ整っていればどこからでもアクセスできるインターネット。そしてそのプラットフォームで展開されるインターネットメディアは既存メディアをあらゆる意味で凌駕します。テレビや新聞、雑誌といった既存メディアの衰退は仕方のないことかもしれません。
規制産業という恵まれた環境にあぐらをかき、視聴者に対して真摯に向き合ったコンテンツを作らなくなったテレビ。再販制度に守られ、ビジネスモデルの変革に遅れをとった新聞や雑誌。あまりにも急速なインターネットの普及は彼らに変化する暇を与えませんでした。広告費には顕著にその影響が現れており、インターネットの広告市場規模は2004年にラジオを抜き、2007年に雑誌を抜き、一部リーク報道もありましたが(それが事実であれば)2008年に新聞を抜き、テレビに次ぐ第2位のメディアになったことになります。
インターネットの本格普及が1996年ころだとすると、おおよそ12年で既存メディアの大半を抜き去るその力。本当に目を見張るものがあります。
ただ、ネットは急速に伸びた一方で、発展が追いついていない部分もあります。それは「不便性」です。インターネットはいつでも、誰でも利用できる、とことん利便性に優れたメディアです。ただし、逆に不便性を追求することでインターネットは既存メディアの長所を取り込み、さらなるメディアへと発展するのではないでしょうか。
例えば、「いつでもアクセスできる」。これは、情報を取得するうえでこの上ないメリットの一つ。思い立ったときに情報を最新の情報を取得できる環境は、インターネット登場以前では考えられないことでした。
ただ、一方でいつでもアクセスできるメリットが、そこで得られる情報の価値を小さくしているとも考えられます。例えば、9時〜19時のビジネスタイムしかアクセスできないニュースメディアがあったら?昼間の1時間しかアクセスできない動画メディアがあったら?世の中広いですからそういうメディアも既にあるのかもしれませんが、かなりの部分で閲覧者や視聴者の属性を絞ることができます。「いつでもアクセスできる」状態で、閲覧者はビジネスパーソンが多い、主婦層が多いといった属性をはじき出して広告出稿を狙うよりも、明確に「時間」で区切って価値を出す。SEO対策的には最悪だと思いますが、そういった思い切ったメディアが登場してきてもいいと思っています。自由な世界ですから。
では、「誰でもアクセスできる」はどうでしょうか。これについては会員登録制を敷くことで、トライするメディアは多い気がしています。mixiやGREEなどのSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)は過去、招待制を敷いていましたが、まさに「友達の友達」という限定で価値を出すことに成功しました。富裕層向けSNSというのもありますね。ニュースメディアのなかでも、属性情報を取得するために無料の会員登録制を設けているメディアは意外に多いです。
ただ、「コンテンツ」といったレイヤーではまだまだこれからな気がします。性別、地域、年齢、年収、職業、会社規模、持ち家・賃貸などの情報を基に閲覧できるコンテンツを出し分ける、もしくは制限を加えているメディアはまだそれほど多くないでしょう。最近ではエリアターゲティング技術も発展し、地域に関しては徐々にこうした制限を設ける動きも出てきています。
つまり、意図的な制限を設けることでモノ、サービス、場所などの価値は高まります。会員制の高級クラブ、空港のラウンジ、限定30個しか販売しない豆腐屋さん、2時間しか開店しないラーメン屋さん、女性しか利用できないカフェなどなど。テレビや新聞、雑誌もやはり「制限」をうまく使ってビジネスを展開してきました。紙メディアは紙面という物理的な制限と地域という限定、テレビは時間という制限と地域という制限です。
あまりにも自由なインターネットに制限をあえて加えてあげる。それこそがさらにインターネットの広告ビジネスを展開させていく一つのカギを握っているのではないかと思っています。
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