インターネット企業が危機的状況になるかもしれない
NECが9月から発売するパソコンの秋冬モデルから値上げをするという。これだけ見ればパソコンの駆け込み購入が増えるのかなと思うくらいかもしれない。「もうそろそろウチも買い替え時期だから早めに買っておくか」と思う人もいるだろう。しかし、ちょっと考えてみよう。グーグルなどのインターネット企業とからめて考えるととんでもないことの序曲かもしれないのだ。
グーグルなどのインターネット企業は、インターネットというインフラがあってこそビジネスを展開できる。ここでいうインフラは、データセンターに格納されるサーバーマシンやルーターなどのネットワーク機器、光ファイバなどの通信施設全体を含む。
利益を上げ続けるには、広告売り上げを増やすことも重要ではあるが、一方でコスト削減、つまりインフラにかかるコストを下げることも重要である。グーグルなどは自前でデータセンターを運用し、数万台レベルのサーバーをどっかんどっかんと入れ続けてきた。これができたのも、ハードウエアのコストパフォーマンスが常によくなってきているからである。インターネットで何が起こっているのかを解説したベストセラー「ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)」(梅田望夫著)で触れられているように、ハードウエアのコストが限りなくゼロに近づくからこそ、イノベーションまたはパラダイムシフトを引き起こした企業が台頭できるわけである。
冒頭のNECのパソコンの値上げのニュースを、パソコンではなくIT機器全体で考えてみよう。値上げの原因が原油高や素材の高騰であるなら、パソコンだけ値上げして他の機器はそのままというのは普通に考えればありえない。当然だが、サーバーマシンやルーターなどのネットワーク機器にも影響が出てくるだろう。どこまで原油高などの影響が出るのか予想はつかないが、一般人がガソリン高に対応するために車をプリウスなどのハイブリッド車を購入している流れをみると、とうてい企業努力では対応できないほど厳しいものになっているはずだ。
このような外的要因により、インフラのコストパフォーマンスはこれまでと同じように改善されないのではないかという仮説を立てられる。現在よりコストパフォーマンスが悪くなるということはありえないと思うが、ありないわけではない。もし、インフラのコストパフォーマンスが悪くなると、グーグルやヤフーのように大量のサーバー/通信インフラを使う部署は大打撃を受ける。企業の存続も危ういほどになるのではないだろうか。
もちろん、原油高や素材の高騰による影響はインターネット企業だけでなく、従来型のリアル企業にもある。「ウェブ進化論」の梅田氏がいう未来は幻想なのだろうか。スターウォーズではないが、新しい経済圏(A New Hope)としてインターネット企業は期待された。インターネット企業の株ならほとんどが上がった時代のことだ。その後、ネットバブルははじけて、インターネット企業も堅実な歩みを始めたのだが、今回の原油高で思わぬところから危機がやってきたようだ。
よくよく考えれば、原油高や素材高騰の影響を受けるのは、インターネット企業に限らない、製造業をはじめ、あらゆる産業に影響がある。なんとなくではあるが、インターネット企業は従来の企業と異なるというイメージを持っている。しかし、基本的なものは同じなのだろう。そう考えると、ネットバブルで信じられない株価をつけた事態が異常だったと改めて分かる。
![]() ![]() | 伊藤康生 / Webサービス運営 http://netzakki.seesaa.net/ |
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