ビジネスユーザーを取り込むマクドナルド
近頃(といってももうしばらく経ちますが)マクドナルドの席に、電源が設置されているのをご存じの方も多いと思います。
端的に考えると、客1人あたりの滞在時間が増える(=1人あたりの客席占有時間が増える)ため、回転率を重視するレストラン経営には不向きな気もします。
なぜマクドナルドは電源設置店舗を増やしているのでしょうか。
モバイラーの筆者にとって、興味深い話題なので少し考察してみたいと思います。
数年前、低価格戦略で痛手を被ったマクドナルドは、元アップル日本法人社長の原田氏を社長に迎え、戦略転換を行いました。ハンバーガーのバリエーションを増やし、サラダなどの健康志向メニューも積極的に取り入れ、24時間営業の店舗を増やすことで他社との差別化を推し進めています。最近は賞味期限偽装の問題や店長の残業代訴訟など暗い話題が増えてはいるものの、業績は再び成長路線に乗ってきているといえます。
電源設置も差別化戦略のうちの1つといえます。現在でもマクドナルド以外で、電源を配置して自由に使える店は多くはありません。むしろ多くの店では掃除用コンセントでさえ利用を禁止しているのが現状でしょう。たかだか2〜3時間程度しか保たないノートPCのバッテリーは、外で仕事をするにはまだまだ心許ないのです。(もちろん10時間程度保つ機種も存在しますが)
我々ユーザーにとっては非常に便利なこの電源設置ですが、冒頭に書いたように、端的に考えると得策ではない気もします。一度席に座ると、パソコンを席に置いたままカウンターに注文には行けないので、追加注文もおっくうだし客単価が上がるとも思えません。
では、電源設置は何を狙っているのでしょうか。
前述のように、電源を利用すると想定される客の多くはノートPCを持ち歩くモバイラーであり、マクドナルドもこうした客をターゲットにしているはずです。こうした層の多くを占めるであろうビジネスマンであり、ビジネスマンの取り込みによって増える売上げは、おそらく数店舗で試験的に実施した結果、電源設置のコストや滞在時間の長時間化を差し引いてもプラスになると判断されたのだと思います。
電源は全ての席に設置されているわけではなく、大体どの店舗でもおよそ20%程度(と思われる)なので、全席がビジネスマンで占有されてしまう心配はありません。そもそもマクドナルドのようなファーストフードはファミレスとは違い、テイクアウトする客が多いため席数が少なくても十分な売上げを上げることができます。また、席に座っている客の多くは滞在時間が短いため、新しい客は空いてる席を比較的短時間で見つけることができます(このあたりはスタバとは大違い)。よって、一部の席に電源を設置して長時間居座られたとしても、売上げにはそれほど影響が無い(ビジネスマン来客増というプラスの影響の方が大きい)と判断されたのかもしれません。
また、ビジネスマンの場合、日中に長時間居座る人はそれほど多くはないのかもしれません。筆者の場合、日中の滞在時間は長くても15〜20分程度です。しかし、次の客先でのプレゼンに備えて少しの間でも充電できるので、電源があることは非常に重宝しています。筆者のようにバッテリー充電を目当てに立ち寄る人も多いのではないかと思います。反対に、夜中は長時間(2〜4時間)居座る傾向にあります。マクドナルドは他社に先駆けて24時間営業店舗を増やしており、ファミレスへの対抗策として、電源を設置して真夜中の店舗稼働率を上げることを狙っているのではないでしょうか
筆者の経験では、日中に出先で仕事をするとしたら大抵はスタバなどの喫茶店を選んでいましたが、電源が設置されてからはマクドナルドに立ち寄ることも多くなりました。スタバのラテも好きですが、マクドナルドのプレミアムコーヒーも嫌いではありません。1杯100円にしては味・量も十分だし、日中の15分程度の滞在には十分満足できるメニューだといえます。
少子化の影響により、来客のボリュームゾーンであったファミリー層が減ってきているため、ターゲットとする客層の幅を広げるという点に置いても、一つの大きな試みであったのだろうと思われます。
業界のリーダーに追随して、おそらく他社でも電源設置を検討しているでしょう。
しかし、マクドナルドは店舗設計から調理効率、カウンターのサービングタイムのどれを取ってもレベルが高く、企業体力もあるのでこうした攻勢にも出やすいのだと思われます。他社が追随するのは容易ではないのかもしれません。ユーザーにとっては、電源が利用できる店舗が増えることは大歓迎なのですが。
参考サイト:
「マクドナルドforモバイル」
http://mac.af-e.net/
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