ブロッガーの心に響いた遠藤実の『私の履歴書』に何を学ぶか?
日経新聞に6月に連載された遠藤実の『私の履歴書』が好評です。シニア世代のサラリーマンだけでなく、多くのブロッガーの心も捉えたようです。演歌の代表作曲家の物語が何故こんなに評判を呼んだのでしょうか。そこにはネット・コミュニティ理解の大きなヒントがあります。
ミノルフォンと言う会社の元専務であり、楽譜が全く読めない歌手志望の青年が、流しをしながら作曲家になって『くちなしの花』など色々なヒット曲を作曲するまでの物語です。
まずブロッガー達の反応を紹介しましょう。
▼ 2006-06-16 私の履歴書「遠藤実」 (演歌商店のつぶやき・・)
http://d.hatena.ne.jp/Enka/20060616
▼ 遠藤実氏「私の履歴書」 (コースケの独り言)
http://blogs.dion.ne.jp/krusty/archives/3629841.html
▼ 日経新聞「私の履歴書」遠藤実氏 (アコーディオン奮闘記)
http://acomari.seesaa.net/article/19351517.html
yahooでざっと検索しただけで約160件が引っかかりました。
『立身出世のコラムなのに赤貧時代=負の時代ばかり書いているのは珍しい』とか、『日経を朝読むのが久しぶりに楽しみになってきた』など兎に角、反響の大きさ、読者に与えた感動の大きさは、流石に演歌作曲のチャンピオンと言う気が致します。
● 何が魅力なのか?
若い作詩家がおずおずと自信が無さそうに差し出した詩を見て『思わず涙が流れてきた・・・・』 『白樺、青空、南風・・・』『届いたお袋の小さな包み』『兄貴は親父に似て無口な二人が・・』と言うところが『自分の故郷への懐かしさをわしづかみにした』と述べているわけですが、このあたりが『私の履歴書』の圧巻な訳ですね。これが有名な演歌『北国の春』です。
相手の詩を読んで自分の体験に自然に引き寄せて考えられると言う点が天才的な人なのかと思います。
『くちなしの花』を作曲した時にはピアノを弾きながら涙を流していた姿が描かれていますが、歌詞に出てくる『今では指輪もまわるほど・・』の指輪に結婚式も挙げれなかった妻に買って上げようと思ってお金が無かった時、西荻窪のショーウインドウで毎日眺めていたオパールの指輪をイメージしていたと言うのですから恐れ入ります。
相手の言葉を自分の体験に引き寄せて、感情を湧き上らせると言う点がポイントなんだと思います。
同じことは一流と言われる歌手にも言えます。昔、有名になり三浦友和さんの妻になって引退した歌手の山口百恵さんは、歌の感情を掴む演技の天才でした。
● 何故mixiの日記をお互いに理解できるのか?
遠藤実さんは編集者から歌詞を渡されてそれを眺めて曲が浮かぶ訳ですが、私たちもこれと同じ事をGreeやmixiの日記で行っています。
筆者はある看護師さんの日記を読んで実際に涙したことがあります。またある介護師をされている女性は筆者の日記を読んで、泣きながらコメントを投稿してくれ、筆者はおろおろした経験があります。
何故SNSではお互いに一面識も無い相手の日記が理解できるのでしょうか? 何故見知らぬ相手のためにコメントを書いて応援する気になるのでしょうか? 考えてみればこれはとても不思議な事です。
相手の日記を何度も何度も読んで行くうちに確かに相手の人柄や背景が判って来ます。これが単純接触の原理ですね。
しかしそれだけでは極めて不十分です。
自分の自己体験に引き寄せて『そう言った状態の時の自分の気持ちを思い出し、感情が沸きあがり、相手の立場が理解できる、自分なりに解釈できる』から、mixiの日記を理解できる訳ですね。(これが心の理論です。)
自分自身が苦しい思いをした時、男性であれ、女性であれパートナーに済まないと思うような経験をした時、会社との恋人との別れや別離など背後にある辛い、苦しい、そして豊かな経験がSNSの文字に紡がれた、動画に紡がれた投稿者の気持ちを推し量る糧となっていると考えられます。
この点はネットであれ、対面であれ、マスコミであれ、ブログであれ、何ら変らないと考えられます。
● 再び遠藤実へ
社会学者の中には音楽を聞いて涙を流したり、本を読んで感動する、映画を読んで感動することは一種の宗教活動だと言う説を唱えている人がいます。
ネット・コミュニティを本気で展開したいなら、SNSやブログでマーケティングの仕組みを本気で考えたいならば、遠藤実の『私の履歴書』のような優れた教材を生かしましょう。少なくともこのやり方が、筆者のネット・コミュニティ学習術です。
凄いですねえ・・遠藤実さんは・・・。(涙)
![]() ![]() | 山崎秀夫 / 日本ナレッジマネジメント学会専務理事 http://echoo.yubitoma.or.jp/weblog/h-yamazaki/ |
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