Web2.0のあっち側の企業はこっち側の企業から稼げるか? 特に『はてな』や『mixi』は?
2006年3月31日、東大で行われたビジネスモデル学会KM研究会での『Web2.0とナレッジマネジメント』の議論に発表者兼パネラーの一人として参加しました。そこでパネリスト達と学食で昼食を取りながら、梅田望夫氏著『Web進化論』が話題となり、あっち側(ネットの世界にどっぷり住んでいる人たち)とこっち側(パソコンの前の体制側)の間のビジネスの議論になりました。
『こっち側が嫌っているホリエモン以外のベンチャー経営者は誰と誰だろう』とか、『こっち側を理解していない(こっち側のビジネス慣習を十分理解していない)あっち側のベンチャー企業は、Web2.0の時代、日本では稼げないばかりか失敗するのでは無いか』と言った議論をしてしまいました。
全くややこしいですね。どっちがあっち側(ネットの世界にどっぷり住んでいる人たち)でどっちがこっち側(パソコンの前の体制側)かを考えながら話をするのは。
梅田さんも罪な書き方をしてくれたものです。(笑)
さてマイクロソフトのビルゲーツが、Web2.0の議論を見て『これは聖戦だ!!』と十年振りに叫んだ理由は、広告費がこっち側(パソコンの前の体制側)からあっち側(ネットの世界にどっぷり住んでいるグーグル)へ向かって流れ、こっち側のマイクロソフトは取りっぱぐれると言うところに危機感を持った点でした。オレイリーの論文にもライセンス中心(プロダクト中心)のマイクロソフトはITサービス中心のグ−グルに追いつかないと言う議論が出て来ますよね。
『では諸君、日本ではどうだろう?』と言う話になり、ネット広告費が1800億円(2004年)から2800億円程度(2005年)に増えたと言っても『それはで一体、誰が儲けるんだ』と言う疑問が湧いてきました。
例えば『はてな』の社長さんは『楽しい仕事ができればそれで良い』と思っていると一般に言われています。筆者は知っているのですが、『はてな』は以前、はてなのITシステムの仕組みをこっち側の大手メーカー数社に納入し、当時大手企業に売れていたQ&Aコミュニティの対抗製品にしようとしたことがあります。こっち側のメーカーは、はてなの製品に十分満足していました。
でもはてなはその後、はてなのITシステムの仕組みをこっち側で販売したと言う話を殆ど聞きません。これは何故でしょうか?
『はてな』を良く知る筆者の知り合いは、『あっち側に住むはてなは、こっち側のメーカーとの付き合い、文化の違いにほとほと嫌気が差したのだろう』と判断しています。
きっと当たらずと言えども遠からずでしょう。
同じことはmixiにも言えると思います。
あっち側に住む彼らはこっち側との付き合いをあまり大切にしていません。まあ、ベンチャーキャピタルは別でしょうが。
特に筆者の経験も含めて言えば、同社に取材体験を持つ人々への広報対応は酷(ひど)いものです。Mixiが気に入らなければメールに返事も来ませんので。こんな会社はあっち側でも初めてです。(これは有名な話。)
例えばmixiが公認コミュニティで稼ぐとしても、こっち側の伝統企業がどのような判断基準で広告投資をするのか知っているのでしょうか?
『もっとmixiコミュニティ全体のクオリティに気をつけてくれないと、とても公認コミュニティなどお金を出す気にならない、やっぱり高くてもオールアバウトの方がずっと魅力的だ』と言う話もこっち側で時々聞きます。(例えばアダルトの取り扱い)
ここで重要な点は繰り返しますが、Web2.0の時代にはこっち側からあっち側にお金がどっと流れると言う点です。でもビートコミュニュケーションやOKWAVE、リアルコム、ビルコムなどのように、こっち側を良く知っていたり、理解しようとする強い姿勢が無いと稼ぎそびれると考えられる点です。楽しい倶楽部のような雰囲気だけではこっち側からあっち側にお金は流れません。もっとも、『自己実現には痛みが伴う』と言う点をアブラハム・マズローは見落としていますが。
折角、あっち側では良いセンスを持ちながら、こっち側に対する理解や積極姿勢が足りないばかりにビジネスチャンスを逃すリスクが多くのあっち側のベンチャー企業にはあります。
まあ、ギークとしての技術屋さん中心の文化圏の中で暮らしていたのではしかたないですかね。『ギークとしての彼らとはまともにビジネスの話が出来ない』と言うのは何百年の昔からあった話ですが。
パソコンの黎明期、OSのCPMの開発者ギルドールは、その所有権に固執しCPMを買いに来たIBMに対する販売を断ると言う生涯最大の失敗をし、晩年は寂しい死を迎えました。一方、当時のこっち側を十分理解していたシアトルの実業家の息子、ビルゲーツは、他社からDOSの所有権を買ってきてMS-DOSを開発しマイクロソフト成長の礎を築きました。
こう言うことが果たしてはてなやmixiに起こらないと言えるでしょうか?
そういえばホリエモン達はあっち側からこっち側を壊そうとした一方で、孫さんや三木谷さんは今で言うあっち側にいながらこっち側をよく理解されてました。(でも彼らは既にこっち側なんですよね。ああややこしい。 笑)
でも今回のパネルのお陰でオレイリーの論文をもう一度、読み直す機会に恵まれました。本当に良く書けています。本当に凄い論文です。またビジネスモデル学会では参加者のお二人が途中でマッシュアップのデモを見せてくれるなど、やっぱり時々あっち側のギークの集まり(失礼!!)には、行って見るもんだとつくづく思いました。
![]() ![]() | 山崎秀夫 / 日本ナレッジマネジメント学会専務理事 http://echoo.yubitoma.or.jp/weblog/h-yamazaki/ |
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| 投稿者: 未登録メンバー (0) 投稿日時: 2006-4-3 13:00 更新日時: 2006-4-3 13:00 |
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トラックバック: dshinaの日記
「ISBN:4480062858:title」に関する考察で、興味深いものを見つけました。 [http://www.future-planning.net/x/modules/news/article.php?storyid=1308:title] 特に興味深いのは以下の2点です。 『こっち側が嫌っているホリエモン以外のベンチャー経営者は誰と誰だろう』とか、『こっち側を理解していない(こっち側のビジネス慣習を十分理解していない)あっち側のベンチャー企業は、Web2.0の時代、日本では稼げないばかりか失敗 ... |
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| 投稿者: 未登録メンバー (0) 投稿日時: 2006-4-3 15:45 更新日時: 2006-4-3 15:45 |
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ハァ? FPN-ニュースコミュニティ- Web2.0のあっち側の企業はこっち側の企業から稼げるか? 特に『はてな』や『mixi』は? あっち側に住む彼らはこっち側との付き合いをあまり大切にしていません。まあ、ベンチャーキャピタルは別でしょうが。 |
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| 投稿者: 未登録メンバー (0) 投稿日時: 2006-4-3 15:54 更新日時: 2006-4-3 15:54 |
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トラックバック: チミンモラスイ?
3月31日に開催された、ビジネスモデル学会第7回KM研究会に出席してきました。 →概要 →ビジネスモデル学会第7回KM研究会『Web2.0とKM』企画会議 ログ 講演内容(予定) ○「Web2.0とコーポレートガバナンス(内部統制) (仮題)」 山崎秀夫 (野村総研) ○「Web2.0の要素群のうちエンタープライズKMにとって重要なもの 〜CMSやMicroformatsで表現した身近な知識素片の流通・活用を中心に (仮題)」 野村直之 (メタデータ) ○「フォークソノミーとマーケティング 〜ロングテールを掘り下げ、ロングテールの次に来るもの... |
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| 投稿者: 未登録メンバー (0) 投稿日時: 2006-4-4 4:22 更新日時: 2006-4-4 4:22 |
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| 投稿者: 未登録メンバー (0) 投稿日時: 2006-4-4 13:46 更新日時: 2006-4-4 18:22 |
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CNETに翻訳記事が出ていましたが、アップルも同じ傾向の会社なんですね。
こちら側におもねらない。 凄い会社ですがビジネスでは後塵を浴びています。 アップルは本当にそれほどすごいのか http://japan.cnet.com/column/pers/story/0,2000050150,20100011,00.htm |
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| 投稿者: 未登録メンバー (0) 投稿日時: 2006-4-8 12:51 更新日時: 2006-4-8 12:51 |
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梅田望夫さんは、はてなの非常勤取締役に就任されています。WEB進化論を読んだ感想ですが、確かに梅田さんの技術革新や社会変革に対する洞察力は超一流だと思います。
次回は彼の経営指導力にも期待したい物です。 楳田さんのアドバイスで、優れた技術革新力、グーグルのようなアイデアファクトリーの文化を持ったはてなが、ビジネスAPIでも良い方向に変われば、物凄いことになりますね。 一方、ミクシイには、はてなのような凄さはあまり感じられません。その点は如何ですか。 ![]() |
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